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“映画を監督しても、実際のところ、儲かるのは、ごくひと握りのメジャー監督だけで、自分なんかは1本の映画製作に拘束される時間を考えたら、ミュージック・ビデオを撮り続けてるほうが、はるかに効率よく、金になるんだよね…”と、カルト人気のバイク・アクション映画「トルク」(2004年)で監督デビューを果たして以来、なぜ、待望され続けている2本めの映画を、今だ作らないのか?!、その理由を説明していたジョセフ・カーン監督ですが、このミュージック・ビデオを観れば、この人が映画を作らないのは、本当にもったいない…と、まっとうな映画ファンの人はガッカリし、別の意味でため息をついてしまいます…。






エミネムが今年2010年6月にリリースしたアルバム「リカヴァリー」からのセカンド・カット・シングルとなる、ゲスト・ヴォーカルにリアーナをフィーチャリングした「Love the Way You Lie」のミュージック・ビデオが、ちょっとした短編映画並の優れた出来栄えなので、ご覧下さい…!!
描かれているストーリーとしては、嫉妬深いくせに浮気性で、すぐにカッとなる身勝手な男と、その気はなくても、男から容易に声をかけられてしまう、見た目の派手な女という、けして相性が噛みあうとは思えない男女のケンカと仲直りのくり返しで、お互いに別れたほうがいいとわかっていながらも、臆病なせいか、スッパリと手を切ることができずに、泥沼の共依存に陥っている悪循環の痛い愛がテーマになっています。
愛しているはずの女性に暴力を振るってしまう衝動を抑えられない精神の矛盾を抱えたドメスティック・バイオレンスな男を演じている、「LOST」のチャーリーこと、ドミニク・モナハンと、自分の外見のイメージにピタリとハマる当たり役?!を初めて得たと言えるミーガン・フォックスの組み合わせのケミストリーは抜群で、マイケル・ベイ監督が「トランスフォーマー」シリーズで、ついに引き出せなかったミーガン・フォックスの存在感を、ジョセフ・カーン監督は、とても自然に導き出せています。


それにしても、このビデオのクライマックスで、家が炎で焼け落ちる様は恐ろしく、抽象的な見方としては、手のひらを閉じて、愛の炎を消すことにしたミーガン・フォックスとの悲痛な別れに、ミシェル・モナハンが、その身を焼き焦がすというイメージなのかもしれませんが、これはミーガン・フォックスが家を出ると決めたことで、ついに狂気に達したミシェル・モナハンが無理心中をはかり、恋人を殺して、家に放火し、焼き払った…と解釈することが可能で、このミュージック・ビデオは、そうした過激な暴力を暗示する内容が、一部で物議をかもしているようです。


そして、結末は最初のカットに戻り、すべては悪夢だったのか?!、それとも、これから、恋人たちに起きることなのか?!、観る者に選択の余地を与えて、終わりとなるのですが…、いかがでしょう?!、やはり、ジョセフ・カーン監督は新作映画を撮るべきではないでしょうか…?!、なお、同監督は、企画を練る開発の期間が長すぎて、なかなか、実際の製作に着手しないので、ウィリアム・ギブスン原作のサイバーパンク小説「ニューロマンサー」完全映画化のメガホンを、この夏、全米で「スプライス」が好評を博したヴィンチェンゾ・ナタリ監督に奪われてしまいました…。



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